SPワイヤの用途

従来はタングステン線、モリブデン線でしか出来なかった超精密、微細加工(電極線径0.1mmφ以下の加工)に使用され威力を発揮します。SPワイヤは、主要な放電加工機メーカー各社より最適な電極線として推奨されています。

① 超精密金型用電極線

リードフレーム金型、コネクター金型、エンジニアリングプラスチック金型、精密部品金型

② 微細加工用電極線

精密歯車、テキスタイルノズル、異形ダイス、精密部品加工、細穴加工

 SPワイヤの利点

 高い張力特性

張力特性は、加工精度と加工速度に大きく影響を与えます。SPワイヤは中心部に高張力の特殊ピアノ線を使用していますので、充分な張力で精密高速加工が出来、断線も少なくなります。

 加工速度

良好な伝導性により、BS線に対してはもちろん、タングステン線に対しても大幅な加工速度の上昇が可能です。

 面粗度と精度

優れた放電安定性と高張力により、真鍮線と同等以上の面粗度と精度を実現します。

 切断幅(クリアランス)

高い張力と安定した放電特性によりタングステン線や真鍮線に比し、切断幅を狭くする事が可能です。このためコーナーRがシャープに取れるようになり精密微細加工が有利になります。
又、クリアランスが狭いため、同一精度の加工をする場合には、1サイズ太めの電極線の使用が可能になり、加工速度が大幅にアップします。

 走行系の摩耗

ワイヤ表面が柔らかく平滑であるため、放電加工機のワイヤ走行系部品(通電ピン、ガイド、ローラー等)の磨耗がタングステン線に比し極めて少なく、ランニングコストを低減させます。

 自動結線率

優れた真直性により、高い自動結線率を誇っています。

 表面安定性

タングステン線等に起こりがちな表面酸化によるワイヤの劣化が少ないため、残余ワイヤの取り扱いが容易で最後まで使い切ることが出来ます。

 HOMO現象

タングステン線でタングステンカーバイド等のタングステンを含むワークを加工する場合におこるHOMO現象が起きないため、安定した放電特性が得られます。

 平易な使用条件設定

近似線径の真鍮線の加工条件にセットして、ワイヤの張力と電流エネルギーを徐々に上げてゆき、断線直前の条件をだすことにより、その加工に最適な使用条件を見つけることが出来ます。なお、放電加工機の主力メーカー各社が、SPワイヤの加工条件データを用意していますので、ご相談いただくのも良策です。

 長尺化

タングステン線のリールあたりの長さが3,000m~5,000mであるのに対し、SPワイヤは、5,000~40,000m/巻が可能です。これにより連続高能率加工が可能になります。

 価格差

SPワイヤの価格は、数々の優れた特性を持ちながらタングステン線に対して大幅に安価で経済的です。BS線に対しても、線だけの見かけ上の単価は高いが、加工時間の短縮、リカット回数の低減をはじめ上記の利点等により、納期の短縮、時間当りコストを考えた加工賃の削減、機械稼働率の向上が可能になり実質的なコストダウンが実現出来ます。

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